執筆者:坂本 綾子
日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
著書「絶対に損をしないお金の増やし方」など
NISAでは主に投資信託を使って運用を行います。そこで知っておきたいのが投資信託の種類や選び方です。
NISAの活用法もあわせて紹介しましょう。
お金を増やすために投資をしたいと思っても、何から始めたらいいのか、初心者は迷ってしまいますね。
投資をしたい人から集めたお金をまとめて、専門家が運用するのが投資信託です。
日本にはたくさんの投資信託があり、それぞれに「うちではこんな運用をしますよ」という運用方針が示されています。
過去の運用実績も公表されています。
投資信託を利用するときは、こういった情報を参考に、どの投資信託を選ぶかを自分で判断できることが大事です。
投資と言ったとき、すぐに思い浮かぶのは株式を買うことではないでしょうか?
株式は投資信託を通しても買うことができます。
通常の株式投資と違って、投資信託を通して株式を買う場合は、ひとつの株式ではなく複数の株式を組み合わせて買います。
これを分散投資といいます。
同じような仕組みで、投資信託では株式の他にも債券などを買うことができます。
国内だけではなく海外の資産も買えます。
投資信託を通して何を買うかにより投資信託を分類すると、「国内株式」、「国内債券」、「海外株式」、「海外債券」となります。
1本の投資信託で国内と海外の株式や債券を買う「バランス」(または「資産分散型」)と呼ばれるものもあります。
さらに、不動産など株式や債券以外の資産に投資するものもあります(下の図を参照)。
国内株式 | 国内の複数の株式に分散投資する |
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国内債券 | 国内の複数の債券に分散投資する |
海外株式 | 海外の複数の株式に分散投資する |
海外債券 | 海外の複数の債券に分散投資する |
バランス | 国内・海外の複数の株式や債券などに分散投資する |
REIT(リート)など | 不動産など株式や債券以外の資産に分散投資する |
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NISAは2024年から「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠になります。
どちらの枠でも投資信託を買えますが、買える投資信託と買い方に違いがあります。
「つみたて投資枠」では、金融庁が定める条件を満たし、長期の分散、積立投資に適した投資信託を買えます。
上記で紹介した種類の中では、「国内株式」、「海外株式」、「バランス」が該当します。
買い方は、毎月などの積立のみです。
つみたて投資枠では、積立購入により、その時々の価格で買うため、時間の分散効果も働きます。
投資初心者なら、つみたて投資枠から始めるのがよさそうです。
一方、「成長投資枠」では、上記で紹介した様々な投資信託を買えます。
買い方は、積立も一括も可能です。
つみたて投資枠にはない投資信託を買いたい、積立ではなく一括で買いたいなら、成長投資枠が候補となります。
NISAの利用にあたっては、どちらか一方の枠だけを使ってもいいし、両方を使うこともできます。
つみたて投資枠で投資信託を積立ながら、資金余裕があるときに成長投資枠で別の投資信託を買うこともできます。
両方を使う場合もNISA口座を持てる金融機関は1つです。
さて、では、どんな投資信託を選べばいいのでしょうか。
押さえておきたいのが、価格変動の幅の違いです。
債券よりは株式、国内よりは海外の方が価格変動の幅が大きくなります。
不動産は、株式と債券の中間ぐらいと考えるといいでしょう。
投資は、価格変動するからこそ利益を得られるのですが、値下がりする方向に動けば損失につながります。
長期に分散投資をすれば、いったんは下がってもまた上がってくる可能性は十分にあります。
ただし、あまりに価格変動の幅が大きいと不安になる人もいるでしょう。どれくらいの価格変動なら受け入れられるでしょうか?
基本的な考え方は、価格変動が大きくても長期で投資に取り組んで大きな利益を得たいなら、債券よりも株式、国内よりも海外を選びます。
逆に、価格変動はあまり大きくない方がいいと思うなら、債券や国内を選びます。
国内・海外の株式や債券などに分散投資する「バランス」は、どんな比率で組み合わされているかにより価格変動の幅が違ってきます。
株式や海外の比率が高いと価格変動の幅は大きくなります。
つみたて投資枠での選び方の例をいくつか紹介しましょう。
例えば、あまり価格変動が大きくない投資信託をコツコツと積立てたいなら、バランスの中から、株式や海外の比率が低いものを選びます。
価格変動が大きくても、利益を重視したいなら、「国内株式」や「海外株式」が選択肢になります。
成長投資枠では、例えば配当利回りが高い(株価に対して配当金の比率が高い)株式に分散投資する投資信託、不動産に投資するREITなど、つみたて投資枠では扱っていない特徴のある投資信託も買うことができます。
NISAを取り扱う金融機関のサイトなどに情報がありますから、投資方針やこれまでの運用実績を調べて、じっくり選ぶのもいいですね。
通常、積立の場合は購入時の手数料はかかりませんが、一括購入の場合は手数料がかかるケースが多いので、手数料についても確認しましょう。
また、投資信託は保有中に信託報酬という手数料を引かれます。こちらも投資信託の説明に記載があるので確認しましょう。
投資信託の価格は様々な理由で変動します。株価や金利、為替レートや社会の状況など。
購入した投資信託の価格はときどき確認したほうがいいのですが、短期の値動きに一喜一憂するのではなく、長期で利益を得ることを目標にしましょう。
年間で購入できる上限は、「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円とかなり大きくなりました。
どちらの枠も、投資信託は1本だけではなく複数を組み合わせて買うこともできます。
ただし、投資は家計に無理のない金額で行うのが鉄則です。ご自身の状況に合わせて活用してください。
坂本 綾子
ファイナンシャルプランナー
(日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
熊本県生まれ。明治大学卒業。マネー記者として22年間、女性誌などで家計管理や保険、投資、住宅購入、相続などお金の記事を取材・執筆。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。自治体の消費生活センターでの市民向けお金のセミナー講師や、家計相談にも対応している。著書に「今さら聞けないお金の超基本」朝日新聞出版、「まだ間に合う!50歳からのお金の基本」エムディエヌコーポレーションなど。
長野ろうきんの公式LINE、公式Instagramでお金の貯め方・ローンなどお金に関する基礎知識やお得な情報をお届けします。
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