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家庭でできる、キャッシュレス時代の子供への「お金の教育」

更新日:2021年06月18日

執筆者:八木 陽子
(株)イー・カンパニー代表取締役/キッズ・マネー・ステーション代表

常識が変化!現金は知らない!?
子供たちのキャッシュレス化はどこまで進む?

最近、子供のお金の教育においても、「キャッシュレス」が話題にのぼります。
コロナ禍で、現金の使用が減少しているのは、大人のみならず、子供たちにもあてはまります。
ただ、大人と子供が決定的に違うのは、ほぼ100%の大人は、現金を知っています。
仮に今、支払いのほとんどにキャッシュレスを選択している大人でも、かつて現金での支払い経験はありますし、100円玉と10円玉の区別がつきます。


一方で、今の子供たちはどうでしょうか。
「うちの子は、現金をほとんど知らない」
という保護者にお会いすることが出てきました。


私の主宰するキッズ・マネー・ステーションでは、約10年前の2012年に、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーを持つ子供たちの増加に伴い、「電子マネーも大切なお金なんだよ」と伝える講座を作りました。
そのときは、子供たちは、100円玉などの現金は知っているけれど、電子マネーは管理しづらく、見えづらいお金という認識が大前提でした。ところがどうでしょう。
2021年今、大逆転をしています。


現金は知らないけど、キャッシュレス決済のみを知っている幼い子たちが出てきています。
「お買い物するならスマホを忘れずに」という感じでしょうか。驚きですね。


そんな急速に時代が変化する中、お金の教育はどのように始めるとよいのでしょうか。
私は、まずは、2歳や3歳といった小さな年齢のときから、ご家庭で、「お金」について会話をすること、日常の中での行動が重要と思っています。
たとえば……


・買って買ってと言われたら、「今日買えるお菓子は一つだけ」「夕飯を買うお金だよ」と親の考えを伝える
・お年玉やクリスマスプレゼントのお礼の手紙を書く
・パパ(ママ)のお仕事を説明して、お金はどこからやってくるのか話す
・物やお金を大切に、おもちゃを片づける習慣や食べ物を捨てない習慣をつける
・子供ができるお手伝いを決める
・親子で一緒に募金をするなど、「他人のためにお金を使う」ことを学ぶ


何か1つぐらいはできそうに思えませんか?
金銭感覚や物やお金を大切にする心は、日常の積み重ねで培われていきます。

小学生のうちに始めたいおこづかい制

小学生になる頃なら、現金のおこづかい制をスタートするのも一つの方法です。
今の小学生ぐらいの子供たちが、現金でおこづかいをもらう最後の世代になるかもしれません。


すでに高校生や大学生の保護者の方から、
「息子には○○ペイでお金を渡すようになりました」
「うちの子はスマホがあればお財布はいらないようです」
という話を聞きます。


成長するにつれて、いずれは、キャッシュレスの支払いが主流になることでしょう。
でも、だからこそ、小学生ぐらいのうちに、現金で感じる重みが貴重な体験になります。
「ああ、貯まってきたな」「減ったな」と肌で分かる現金の重み。
その実感を得やすい「おこづかい制」は小学生のうちに導入をおすすめしています。


おこづかいの渡し方には3通りの方法があります。

1)【定額制】毎月、毎週、毎日など決まった期間に、決まった金額を渡すもの
2)【報酬制】お手伝いなど働いた分に応じて、おこづかいを渡すもの
3)上記をミックスさせたもの


定額制は、計画を立てやすく人気がある方法ですが、子供によっては何もしなくてもお金がもらえると思ってしまいます。
お金と関係なくても、子供が担当するお手伝いを決めましょう。
一方、報酬制は、お手伝いをしなければおこづかいがもらえないので、「お金は労働の対価」という概念が伝わり、お金を稼ぐ大変さを実感しやすい方法です。
とはいえ、短所としては、家の手伝いに対価を求めたり、おこづかいがもらえないとお手伝いをやりたがらなかったりする傾向があります。
このデメリットを解消するためには「家族の一員として、家事をするのは当たり前」という基本の考えを伝えることです。


そして、「仕事」として認めたものだけ、お金(おこづかい)と連動させましょう。
ちなみに、我が家はどのようにしてきたかというと、お手伝いが習慣化しづらかった息子はあえて報酬制、お手伝いが大好きな娘は定額制でスタートしました。
それぞれ短所と長所がありますので、ご家庭の方針やお子さんの性格や成長過程で決めていければよいと思います。
そして、たくさん失敗しても、継続していくことが大切です。
その経験が、中学生や高校生になり、キャッシュレス決済という、数字で金銭管理ができることにつながるのでしょう。

日本の未来を明るくするためのお金の教育

最後に、なぜ今、親も子もお金のことを学ぶ必要があるのでしょうか。
一言で伝えると、お金を学ぶことは、自分の人生、そして、社会のしくみを考えることにつながります。
今、人々の寿命は延び、人生は長くなっているのに長くなった人生を楽しみにするどころか、先が見えず不安な人もいます。 また、コロナ禍ということもあって、政府のお金の使い方、格差や貧困など様々な社会問題が噴出しているように思います。


お金は社会の血液といわれるものです。
お金が世の中をまわることによって、社会が形成されていきます。
子供たちには、お金の流れと社会のしくみを知って、自分自身、そして日本の未来を明るいものに変える力を持ってほしいと願っています。
ぜひ親子でお金を見つめ直すことを始めてみませんか。



八木 陽子

八木 陽子(やぎ・ようこ)
(株)イー・カンパニー代表取締役/キッズ・マネー・ステーション代表

ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント。15年以上の仕事実績と二児の母としての消費者の視点から、子供から大人まで分かりやすく「お金」「ライフプラン」を伝える。2005年からお金とキャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、2021年現在、約300名の講師たちが所属している。全国の学校にて授業や講演などの活動実績が多数。2017年度4月から使用される文部科学省検定の高等学校家庭科の教科書に日本のファイナンシャルプランナーとして掲載される。

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