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FPが教える個人でできる節税対策

更新日:2022年05月20日

執筆者:坂本 綾子
日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
著書「今さら聞けないお金の超基本」など

たくさんの人が暮らす社会を運営する費用として、収入がある人は税金を払っています。
そのため実際に使える手取り収入は額面よりも少なくなります。


会社員なら、給与明細を見て、けっこう引かれているなと感じる人は多いのではないでしょうか。
少しでも手取りを増やすには、個人ができる節税対策をしっかりとることです。
まずは税金計算の仕組みから確認しましょう。


税金計算の仕組み

税金は1年間(1月1日から12月31日)の収入をもとに計算します。
その際、その年に使える控除があれば、それを引いた後の課税所得に税率をかけます。
つまり、使える控除をもれなく使って課税所得を減らすのが節税のポイントです。


控除を使って所得税と住民税を安くする

個人が使える控除には、扶養する家族がいる人の扶養控除、保険に加入する人の保険料控除、医療費がかかった年の医療費控除などがあります。老後資金を準備するiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金も控除できます。


これらの控除は、会社員なら勤務先の年末調整で申告できるものもあります。
年末調整では申告できない控除は、確定申告を行います。個人事業主なら、収入の確定申告の際に併せて控除も申告します。


控除を使って課税所得を減らすことで、所得税と住民税が安くなります。
節税できる目安は、控除額に税率をかけた金額。


所得税は所得が多いほど税率が高くなります。住民税は一律10%です。
例えば所得税率10%の人なら住民税率10%と合わせると20%。


控除額に税率をかけた金額が目安ですから、仮に30万円の控除で税率20%なら6万円が節税額の目安です(他の条件は考慮せず)。
所得税の分はすでに払っているなら還付され、住民税の分は翌年の住民税が安くなります。


人気のふるさと納税も、寄付金控除を使った節税の一種です。
ただし、他の控除とは仕組みが異なります。


ふるさと納税の仕組み

自分が育った自治体や、自分の意思で応援したい自治体に寄付をする、ふるさと納税。
多くの自治体では寄付をした人へのお礼として、地域の特産品などを返礼品として送っています。


税金の控除を受けるには、寄付をした自治体から発行される証明書を添付して確定申告します。
寄付金のうち2,000円を除いた金額が控除の対象です。


まず所得税率に応じた所得税が控除されます。
次に残りの金額が翌年の住民税が安くなる形で控除されます。
控除される金額には上限があります。


例えば年収500万円の会社員で共働き(配偶者の給与収入201万円超)、子どもはいないか中学生以下なら、全額控除できる上限は6万1000円。
自己負担の2,000円を引いた5万9000円が所得税と住民税から控除される、つまり節税になります。
ただし、寄付をしているので、実質的には自己負担の2000円で返礼品を手に入れたのと同じことです。


会社員は、寄付先が5カ所までなら「ワンストップ特例」の申請書を寄付先の自治体に提出すれば確定申告をする必要はありません。 


節税につながる控除と手続き

節税につながる控除を表にまとめました。
いずれの控除も、なんらかの手続きをしなければ節税にはなりません。
使える控除の確認と手続きを忘れないように。

種類 仕組み 申告の方法
扶養控除 16歳以上の扶養親族がいると控除できる。控除額は扶養親族の年齢等により異なる 会社員は年末調整
保険料控除 生命保険や地震保険に加入して保険料を払っていると控除できる。控除額には上限がある 会社員は年末調整
医療費控除 医療費が一定額を超えると、超えた分を控除できる。生計を一つにする親族の医療費を合算できる* 確定申告
iDeCo(個人型確定拠出年金) 加入者は、掛金の全額を控除できる。立場により掛金には上限がある 会社員は年末調整
ふるさと納税 都道府県や市区町村に寄付をすると、自己負担の2000円を除いた全額が控除される** 確定申告
(会社員は別の制度もある)

*上限200万円
**全額控除される寄付金の額には収入や家族構成に応じた上限がある



坂本 綾子

坂本 綾子
ファイナンシャルプランナー
(日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)

熊本県生まれ。明治大学卒業。マネー記者として22年間、女性誌などで家計管理や保険、投資、住宅購入、相続などお金の記事を取材・執筆。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。自治体の消費生活センターでの市民向けお金のセミナー講師や、家計相談にも対応している。著書に「今さら聞けないお金の超基本」朝日新聞出版、「まだ間に合う!50歳からのお金の基本」エムディエヌコーポレーションなど。

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