当金庫では、リスク管理を重点課題の一つと位置づけ、経営の健全性を確保するため、理事会により制定された「統合的リスク管理方針」により、各種リスク管理の規程や体制を整備し、適切な方法でリスク管理を実施しています。
当金庫では、金庫が直面する各種リスクを個別の方法で質的または量的に評価した上で金庫全体のリスクの程度を判断し、金庫の経営体力(自己資本)と対照することによって管理する「統合的リスク管理」を行っています。
具体的には、「信用リスク」、「市場リスク」、及び「オペレーショナルリスク」について、各リスクの特性に応じた手法を用いてリスク量を計測・把握し、全体のリスク量が自己資本の範囲内に収まるように管理しています。また、各リスクに自己資本を割り当てることにより、全体のリスク量だけでなく、個別のリスク量についても管理しています。
管理状況については定期的にALM委員会及びオペレーショナルリスク管理委員会で検証し、自己資本に対して過大なリスクをとることがないよう努めています。
また、金融市場の急激な変化や不確実性に対応するため、一定のシナリオのもとで損失がどの程度想定されるか、定期的にストレステストを実施し、分析、検証をしています。
与信先(貸出先等)やデリバティブ取引の相手方の信用状態の悪化による債務不履行リスク(貸出金や有価証券などの元本、利息が回収不能となるリスク)が、いわゆる「信用リスク」です。
金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスクが「市場リスク」です。
当金庫では、資産・負債全体の市場リスク量をVaR(バリュー・アット・リスク)により月次で計測し、市場リスクに割り当てられた自己資本の範囲内に収まっているかどうかを管理するとともに、ALM委員会にてそのリスクリミットの遵守状況等を確認しています。
また、「金利リスク」、「価格変動リスク」、及び「為替リスク」について、以下のとおり管理しています。
運用、調達の資金別に金利更改日までの残存期間のデータを把握し、複数の金利変動シナリオに基づいて定期的にシミュレーションを行うことにより、金利変動による収支損益の変動額を把握しています。 また、資産・負債のBPV(ベーシス・ポイント・バリュー)を算出し、金利変動による現在価値の変動額を把握しています。
市場の急激な変動に対して迅速に対応できるよう、有価証券の時価評価及びVaR(バリュー・アット・リスク)を日次で計測しています。また、個別株式については株価が変動した場合の損益額を算出し、株価の変動に対応した管理を行っています。
外貨建資産・負債の為替損益を日次で把握するとともに、為替が変動した場合の損益額を算出し、為替の変動に対応した管理を行っています。
以上の市場リスクの管理は、後に説明いたします流動性リスクの管理も含めて、ALM(Asset Liability Management : 資産負債総合管理)の中で行っています。
予期しない金庫資金の流出などが起こった場合、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたり、市場での流通が不十分であるために、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより、金融機関が損失を被るいわゆる資金繰りリスクが「流動性リスク」です。
金庫業務全般において、様々な資金フローが発生しますが、当金庫では、こうした資金繰りリスクについて、経営企画部において一元的に管理するとともに、ALM委員会にて管理状況を報告しています。
金庫の業務の過程や役職員の活動若しくはシステムによる統制などが不適切であること(いずれも委託先・取引先等含む)の他、外生的な事象などに起因して、金庫又は金庫の顧客等が利益を逸する又は損失を被るリスクが「オペレーショナルリスク」です。
当金庫では、オペレーショナルリスクを各リスクに区分し管理するとともに、オペレーショナルリスク管理委員会でリスク管理状況の把握、評価、対応を協議し管理しています。
役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクが「事務リスク」です。 当金庫では、事務処理手順、事務処理権限、事務管理方法などの厳正化に加えて、事務が正確に行われるための管理態勢検証をする内部監査を強化するとともに、研修による職員の事務処理の習熟、オンラインシステムのチェック機能の活用などによりリスクの削減に努めています。
コンピュータシステムが停止したり、誤作動するなど、システムの不備やコンピュータが不正に使用されることにより、損失を被るリスクが「システムリスク」です。
法令等に違反する行為、各種契約にかかわる不備等により損失を被るリスクが「法務リスク」です。
当金庫では、遵守すべき法令等をコンプライアンスマニュアルに定め、研修を通じて役職員への周知徹底に努めています。また、新規業務の開始時や各種契約の締結時には、担当部署によるリーガルチェックを実施するとともに、必要に応じて顧問弁護士等の外部の専門家に相談を行っています。
人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、及び差別的行為、ハラスメント行為等により損失を被るリスクが「人財リスク」です。
当金庫では、雇用形態等に応じた人事管理の適切な実施、及び役割行動基準に基づく役割等級制度を基本とした職員の働きがいを高める人事運営に努めています。また、あらゆるハラスメントを防止する取組みとして相談窓口を常設しています。
災害その他の事象から生じる有形資産の毀損・損害などにより損失を被るリスクが「有形資産リスク」です。
当金庫では、管理すべき動産・不動産の所在と現状を定期的に把握し、各資産の脆弱性を踏まえた防災・防犯対策の実施に努めています。
当金庫に対する評判の悪化や風説の流布等により信用が低下し、損失を被るリスクが「評判リスク」です。
当金庫では、評判リスクの発生が懸念される場合、リスク規模・性質に応じて適切に対応することにより未然防止に努めています。また、万一発生した場合に備えて本部各部及び営業店の対応方法を定めたマニュアルを整備するなど、評判リスク顕在化の影響を最小限に抑えられるよう努めています。